年齢と性別でこんなに違う、新型コロナの死亡リスクー南米ペルーのデータから分析
この研究は、2020年3月〜5月25日にペルー全国で確認された新型コロナウイルスの感染者・死亡者データを、年齢層・性別ごとに分析したものです。感染確定から死亡までのタイムラグを考慮した「時間遅れ調整致死率(aCFR)」という統計モデルを用いることで、流行の最中でもより実態に近い死亡リスクを推定しました。

年齢と性別でこんなに違う、新型コロナの死亡リスク
―南米ペルーのデータから分析
ラテンアメリカ最大級の流行に見舞われたペルー。約13万人分の感染・死亡データを分析したところ、高齢者、とりわけ高齢の男性で死亡リスクが際立って高いことがわかりました。
この研究でわかったこと
知っておきたい用語
- 致死率(CFR)
- 感染が確認された人のうち、実際に亡くなった人の割合のこと。
- 時間遅れ調整致死率(aCFR)
- 感染確定から死亡までにはタイムラグがあるため、単純なCFRは流行の最中には実態より低く出やすくなります。aCFRはこの時間差を統計モデルで補正した、より正確な死亡リスクの指標です。
- 信用区間(95%CrI)
- 統計モデルによる推定値が、どの範囲に収まる可能性が高いかを示す幅のこと。数値のブレ幅の目安と考えるとわかりやすいです。
主な発見
論文のデータから見えてきた、4つの重要なポイントです。
年齢とともに跳ね上がるリスク
死亡リスクは20代では1%未満ですが、60代で男性33.1%(95%信用区間:31.7-34.6%)・女性19.2%(95%信用区間:17.9-20.6%)、70代で男性49.4%(95%信用区間:47.3-51.6%)・女性32.2%(95%信用区間:29.9-34.7%)、80歳以上では男性64.3%(95%信用区間:60.9-67.8%)・女性35.1%(95%信用区間:32.1-38.1%)まで上昇します。
男女差は年齢とともに拡大
男性全体の調整後致命リスクは10.8%(95%信用区間:10.5-11.1%)で、女性の6.5%(95%信用区間:6.2-6.8%)より約1.7倍高い結果でした。この差は年齢が上がるほど広がる傾向にあります。
80歳以上の男性は10人に6人以上
80歳以上の男性における調整後致命リスクは64.3%(95%信用区間:60.9-67.8%)。これは0〜9歳の男性と比べて58倍という際立った差です。
感染はリマに集中、対策には限界も
感染者の63%が首都リマに集中していました。一方で就業者の72.4%がインフォーマル経済(政府の法規制や課税、公式な統計把握の枠組みから外れた、多様な労働や事業活動のこと)に従事しており、外出自粛などの対策を徹底しづらい社会的背景もありました。
年齢層・性別ごとの調整後致命リスク(aCFR)
「80歳以上の男性における調整後致命リスクは64.3%(95%信用区間 60.9〜67.8%)」 Munayco et al., Aging (2020)この研究が伝えること
私たちにできること
- 高齢のご家族や身近な高齢者への感染対策(マスク着用、換気、混雑を避けるなど)を特に意識する
- 体調不良を感じたら早めに検査・受診し、周囲への感染拡大を防ぐ
- 高齢者と接する機会が多い方は、自身の体調管理にも普段から気を配る
論文情報
- タイトル
- Risk of death by age and gender from CoVID-19 in Peru, March-May, 2020
- 著者
- Munayco C, Chowell G, Tariq A, Undurraga EA, Mizumoto K
- 掲載誌
- Aging (Albany NY). 2020 Jul 21;12(14):13869–13881.
- DOI
- 10.18632/aging.103687
- 調査概要
- 2020年3月〜5月25日にペルー保健省が収集した年齢層・性別別のCOVID-19感染者・死亡者データ(感染者129,148人、死亡者7,660人)を用い、ベイズ統計モデル(MCMC法)により時間遅れ調整致死率(aCFR)を推定。


