学校でのコロナ感染、実際にはどれくらい広がっていた?ー沖縄の大規模調査でわかったこと
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の流行中、多くの国で「子ども同士が学校で感染を広げやすい」という想定のもと、学校閉鎖が繰り返し行われました。しかし沖縄県で2021-2022年に行われた接触者への大規模PCR調査の結果を分析したところ、学校での感染の広がりは私たちの想定ほどではありませんでした。

学校でのコロナ感染、実際にはどれくらい広がっていた?
沖縄の大規模調査でわかったこと
2021〜2022年、沖縄県内のほぼ全ての学校・保育施設で行われた大規模PCR調査。約14万人の「濃厚接触者・接触者」を追跡した結果、学校での感染の広がりは、私たちが恐れていたほどではなかったかもしれません。
この研究でわかったこと
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の流行中、多くの国で「子ども同士が学校で感染を広げやすい」という想定のもと、学校閉鎖が繰り返し行われました。しかし沖縄県では、2021年5月から2022年9月まで、園児・児童・生徒が新型コロナに陽性となるたびに、同じクラスの人たち全員にPCR検査を実施する大規模プロジェクトが行われていました。その結果を分析したところ、陽性者が出たクラスでも、実際に感染が広がって新たに陽性となった人は平均して1件あたり0.5人程度にとどまっていたことがわかりました。学校の種類によって差はあるものの、大規模な子ども同士の感染拡大は確認されなかったのです。
知っておきたい言葉
この研究では「陽性者から1メートル以内の距離で、15分以上、マスクなどの対策なしに一緒にいた人のこと」と定義しています。感染リスクが比較的高いと考えられるグループです。
検査を受けた人のうち、実際に陽性と判定された人の割合のこと。この研究では「接触者のうち何%が新たに感染していたか」を示す指標として使われています。
最初に見つかった陽性者(index case-patient・指標患者)から、他の人にうつってしまうこと。今回の研究の主なテーマは「学校で二次感染がどれくらい起きたか」です。
給食の時間に会話をせず、静かに食事をとる取り組み。当時、政府が学校での感染対策として推奨していました。
主要な発見
陽性者は多く見つかったが…
6,736件調査期間中、1陽性者に対する接触者調査の数は6,736件発生。その約半数(50.7%)が保育園・幼稚園で起きていました。
実際に広がった感染は限定的
0.43人1件あたりの平均二次感染者数は0.43人(中央値0人)。ほとんどの場合、クラスで陽性者が出ても他への感染はゼロだったことになります。
施設の種類で差があった
保育・学童で高め保育園・幼稚園(3.44%)と学童保育(2.51%)は他の学校種別(約1.0%)に比べ陽性率が高く、年齢や環境の違いが影響したと考えられます。
施設タイプ別・接触者全体の陽性率
※論文中の「接触者全体(濃厚接触者+非濃厚接触者)」の陽性率をもとに作成。特別支援学校はデータが少ないため参考値として省略しています。
適切な感染対策がとられていた学校では、二次感染のリスクは必ずしも高くなかった。
社会への示唆・私たちにできること
論文情報
| タイトル | SARS-CoV-2 Infection in School Settings, Okinawa Prefecture, Japan, 2021–2022 |
|---|---|
| 著者 | Takayama Y, Shimakawa Y, Matsuyama R, Chowell G, Omori R, Nagamoto T, Yamamoto T, Mizumoto K |
| 掲載誌 | Emerging Infectious Diseases(米国CDC発行)Vol. 30, No. 11, 2024年11月 |
| DOI | https://doi.org/10.3201/eid3011.240638 |
| 調査概要 | 沖縄県内の小学校・中学校・高校・特別支援学校・学童保育・保育園・幼稚園を対象とした大規模PCR追跡プロジェクト(2021年5月〜2022年9月)。追跡された接触者143,184人(うち濃厚接触者20,546人)のデータを分析。 |


